地震の基礎知識

小さな地震で引き起こされる津波地震の危険性

地震の規模を示すマグニチュードも小さく、震度も小さな地震が起きたときほとんどの方は津波の心配などしないはず。それとは逆にマグニチュードが大きく震度も6を越えるような地震がきたときには津波の心配を多くの方がするはずです。

しかし、震度2という小さな地震で20mの津波が沿岸部を襲った明治三陸津波地震という地震がありました。つまり、震度の大きさは津波の大きさと比例しないということです。

ここでは小さな地震が引き起こす津波地震の危険性について紹介します。

 

小さな震度で引き起こされる津波

地震を引き起こす断層の動きは通常1つの場所が動き始めてから数秒~数十秒という時間がかかります。稀にこの変動が数十秒から数分かけてじっくりと断層が動くことがありますが人にとっては小さな地震にしか感じません。

しかし、海では海底が数分間かけてじっくりと上昇してしまうため大きな津波が発生してしまいます。こういった地震を『津波地震』または『ゆっくり地震』といいます。

日本列島でこの津波地震で被害を受けやすいとされるのは三陸の沖合です。明治と昭和に震度2~3という小さな地震であったにも関わらず想像を絶するような津波被害は引き起こされてしましました。

津波地震の危険性

津波地震が起きたとき多くの方は「たいしたことはない」と油断してしまうことになります。しかし、そう思った数分~数十分後に沿岸部に非常に高い津波が押し寄せてくるため非常に危険な地震でもあります。

「たいしたことない」と感じるような地震の後に大きな津波がやってくるこの津波地震は最大限の警戒が必要な地震です。

2011年に起こった東日本大震災のような巨大地震の場合の地震と違い、小さな地震で引き起こされた津波地震波は、明治と昭和どちらでも起きました。

 

震度2の地震が2万人の死者を出した明治三陸津波

1896年(明治29年)に起きた明治三陸津波地震は典型的な津波地震による津波被害を受けました。震度はわずか2程度と低く地震そのものによる被害はほぼありませんでしたが、震源域の海底ではゆっくりと断層が大きく動き64平方キロメートルの海水が持ち上がりました。

富士山の5合目から上の体積とほぼ同じこの津波は三陸海岸を襲い波の高さは20mを越え、その被害者の数は2万1959人に達したとされています。記憶に新しい東日本大震災の被害者数は1万5千人でしたがその平成の巨大地震よりも大きな被害を震度2程度の小さな地震が引き起こしてしまったわけです。

  北海道 青森県 岩手県 宮城県 累計
死者(人) 6 343 18,158 3,452 21,759
犠牲者(人) 5 214 2,943 1,241 4,403
流失家屋(棟) 25 602 4,801 3,121 8,524
倒壊家屋(棟) 25 264 726 854 1,844
浸水家屋(棟)   93 1,175 2,426 3,694
船舶流失破損 84 329 5,456 1,145 7,114

教訓を活かした昭和三陸津波地震

明治三陸津波地震で起きた津波被害から、震度2程度の地震でも20m以上の津波が発生してしまうということが分かりました。この三陸では1933年(昭和8年)に再び津波地震が発生したのですが、明治三陸津波地震での教訓を活かされ多くの命が助かることとなります。

この昭和三陸津波地震は28.7mの波の高さを観測されるほど巨大津波で、明治三陸津波地震の犠牲者数2万1959人よりも被害は大きいかと思われがちですが、死者数は行方不明者と合わせて3064人と明治三陸津波地震の7分の1程と助かった人が多かったとされています。

  北海道 青森県 岩手県 宮城県 累計
死者(人) 13 23 1,316 170 1,522
負傷者(人) 54 70 823 145 1,092
行方不明(人)   7 1,397 138 1,542
家屋流出(棟) 19 151 2,914 950 4,034
家屋倒壊(棟) 48 113 1,121 528 1,810
家屋消失(棟)     216   216
家屋浸水(棟) 131 107 2,259 1,520 4,018
船舶流失破損 206 632 5,860 1,373 8,071

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